Maison Martin Margiela S/S 12 Review



shop Maison Martin Margiela

毎シーズン目が離せないメゾン・マルタン・マルジェラ。そのSS’12コレクションのお披露目に際し、Oki-niではスペシャル・ショッピングページを設けました。撮影地はロンドンの中心街から少し離れたEast Finchley 、そこで一世紀以上もの間人々の憩いの場として親しまれてきたPhoenix Cinemaにて。ファッションシュートから直接商品ページをチェックするもよし、下記のレビューとビデオで今季の全体像を再確認するもよし。マルジェラ・クリエイションの魅力を感じて頂ければ幸いです。

まずは序章として、メゾン・マルタン・マルジェラ Spring / Summer 2012シーズンのランウェイショーをおさらいしましょう。今回のプレゼンテーション会場に選ばれたのは歴史あるパリジャン・ミュージックホール、そして現在はシネマであるLe Trianon。真紅のベルベッドシートに囲まれ、ショーはショートフィルムからスタートしました。



シネマが会場に選ばれた所以は今シーズンのメインテーマ、「イリュージョン」にあります。創設者であるMartin Margielaが第一線を離れ、彼の意志を継ぐデザインチームよって支えられているメゾン。主軸がかけて停滞するかのように思われたチームですが、そのクオリティは落ちる事はなく、それどころか綿密なデザインワークとそこここに散りばめられたトリック、そして最新テクノロジーと伝統技術を使ったイノヴェーティブ・クリエィションは進化の一途を遂げています。それは、ブランドそのものがコンセプチュアルであるからか、それとも創設当初からメゾンとしてのクリエイションを主としていたからか、思えば彼等の一人称は、常に「I」ではなく「We」とされていました。そして今シーズン、テーマ「イリュージョン」を象徴するモザイクアートは、コレクションテーマのみならずメゾンとしての絆も我々に訴えかけているようです。

さて、SS’12コレクションでテーマ「イリュージョン」が最も顕著に現れているものといえば、アクセサリーライン。プラスチック、クォーツロッククリスタルを組み合わせた、今にも消え入ってしまいそうな繊細なデザイン。(それは文字通りに、ホワイトの背景の中に消え入ってしまいOki-niのフォトグラファーを散々苦しめたものですが。)それらは透明感という点に焦点を当て、シーズンコンセプトがダイレクトに形になった好例と言えるでしょう。

一方クロージングコレクションでは、ライトウエイトウエイト/セミシアー マテリアルが同様にテーマを表現しています。布地のレイヤーは互いに組み合わせられているかの様な、それでいて各々が独立したピースであるかの様な、、、一見なんとも不思議な構造が成されています。例えばジャケット等のアウターウエアには、その存在をほのめかす様に重なり合うシームやパネルに薄手の素材が使われており、加えてMargiela 全体のテーマである非構築的要素をも暗示しています。

フットウエアラインでは、今シーズンもクラフトマンシップの結晶とも言える様々なフィニッシング・テクニックや既存のものにユニークなひねりを加えたデザインが目立ちました。例えばソール・ユニットのミクスチャーによりロック回帰を果たしたフォーマルシューズ。また独自のストーン・ウォッシュ加工であるMaffaトリートメント。またコレクターも存在する程のロングセラーデザイン、レプリカ・スニーカーシリーズにはテクスチャーに対する新たな試みが行われています。ブラックホワイトのペイント・フィニッシュは、ラグジュアリーなラムレザーや夏らしいジュート布に。その他レザーにワックスを塗布ししっとりとした質感を持たせたりと、ひとつとしてエクスペリメンタルでないものはありません。デザイン面では、シューレースが本体に入り込んでしまうユニークなレースアレンジメントを提案。いずれもふと目を奪われてしまうエンターテイメント性を備えています。

一方で、そのコンセプチュアルなデティールやフィニッシングがデイリー・ワードローブとして支障をきたすと思えば、そうではありません。トラディショナルなでアレンジの効くシルエット、上品なカラーリング、、、。例えば70年代ムード高まる今季、最注目カラーであるブルー。様々なブランドがデニムを始め多様なブルー・カラーを提案しています。例えばロンドンブランドYMCは、鮮やかなヴィヴィッド・トーンをさらに鮮やかなオレンジカラーに合わせていますが、マルジェラではウォッシュド・デニムなどのペールブルーやパステルカラーなど、比較的柔らかなトーンもアイテムを展開しています。マルジェラのアイテムは常に ’奇抜さ’ と’クラシック’とのバランスを絶妙に保っているのです。

知れば知るほど奥深く、人々を魅了するメゾン・マルタン・マルジェラの創造する世界。そのコンセプチュアル・コレクションの核となる部分を中心に次々を形を変えてゆきます。そして賞賛すべきはそのアイデアを形にするリアライゼーション能力。メゾンが掲げるヴィジョンは世界中の職人やテクノロジーと結びつき、数え切れない人々の手を渡って完成形となり、最後に我々の前に辿り着くのです。 ‘イリュージョン’ 、そこにはタネも仕掛けもなく、人々のものづくりに対するひたむきな思いのみが存在します。


Credits:
Hair styling | Francesca Morris
Model | Max Barreau at Models 1
Location | Phoenix Cinema


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