Christopher Kane Interview
CHRISTOPHER KANE: THE MAN MACHINE
Jonathan Anderson やChristopher Shannon らと肩を並べるブリティッシュ・ファッション界の新星、Christopher Kane。トラディショナルとモダンが混在するイギリスのファッションシーンにおいて、ニュージェネレーションとしてその一端を担っています。彼のコレクションで常に注目を集めるのはそのユニークなテキスタイル・デザイン。特に昨年から立ち上がったメンズウエアラインでは、独創的なプリントデザインをふんだんに全面に押し出したアイテムを展開しています。
カメラが苦手、という思いのほかシャイなChristopher。今回は来るSpring / Summer 2012シーズンのコレクション、自身のスコティッシュルーツ、そして彼にとって決して色あせる事の無い90年代の魅力について伺いました。
また、ロンドン・ファッションウィーク特別企画『Christopher Kane テイクオーバー・オブ・Oki-ni 』では、STYLED と MIX SERIES においてChristopher Kaneと交流の深いクリエイターとのコラボレーションを実現。共にスペシャルエディションでお送りしています。
ロンドン・ファッションウィークを目前に、我々ファッショニスタがデザイナーChristopher Kane について思う事は「次は何をやってくれるのか?」という好奇心と期待。彼自身はそのようなある意味ではイロモノのような扱いをどう受け止めているのでしょうか。
「ちょっと非現実的なくらいが好みで」と、はにかみながら答えてくれたChristopher。 「人にビックリされる様なアイデアが好きなんです。」なるほど、確かに彼の出世作であるウィメンズラインでは、シーズンごとに新鮮な驚きが散りばめられています。そしてそれは単なるサプライズではなく、Christopher Kaneのオリジナリティという基盤の上でしっかりと形作られたものです。そして待望のメンズウエアラインでは、プリントデザインを中心にシーズン毎の方向性が明確に示されています。
メンズライン創設当時、デザインは明らかに過去のウィメンズウエアコレクションから引用されたものでした。しかしオリジナリティーという点において、あの壮大な宇宙を描いた素晴らしいプリントデザインには、誰もが驚きと感動を覚えた事でしょう!ファッションのユニセックス化が日本ほどではないイギリスにおいても、彼の作品に限ってはそのおしゃれ心を掴まれた男性陣も少なくないのでしょう。そもそも彼のメンズウエアラインは、彼のウィメンズウエアデザインに魅せられた男友達のリクエストによって作られたとか。
Christopherがデザイナーとしてウィメンズラインにフォーカスした理由の一つは、資産の問題にありました。簡潔に言うと、何足もの草鞋を履く余裕は無かったということです。 「最初は、スタートポイントとしてウィメンズウエアに焦点を当てることにしました。それから5年間、これが一生の仕事と考えて少しずつブランドを大きくしていっています。それからブランドの成長に合わせてメンズウエアラインやアクセサリーラインなど、他のエリアにもチャレンジしてみたいと思っています。その時は時間と予算を見て適切なタイミングを選びたいですね。」
今シーズンのメンズウエアラインでは、彼の言うチャレンジが形を現してきたものとなりました。すぐにそれと分かるシグネチャー・プリントにはスーツやジャケットなどのアイテムがプラスされ、コレクションとしての完成度も向上しています。しかし、あれほど同様のテーマを貫いていたメンズとウィメンズコレクションに、メリハリを付け始めた理由とは?
「(男女のライン同士が」統一されているのは勿論好きです。けれども、そこから一歩踏み出た所に行きたいと思った。場合によってはそれはデザインに制限をもたらすことがありますから。それで今回のメカニカル・プリントの場合、男女別にしたほうがいいと思ったんです。」
2006年にセント・マーチン大を卒業後、Christopherはデザイナーとしてメインストリームを逆行する動きを積極的に行ってきました。それが後に若くして大成する一因となるわけですが、そのようなある意味反抗的なバイタリティは、彼自身のスコットランド出身という背景にあるのでしょうか?
「スコティッシュとしての自覚は、私自身のクリィションを常に現実的に、地域的に、またエシカルにしていると思います。」
その言葉を照明するかのように、彼のクラフトに対する拘りと地域愛は自身のコレクションアイテムの中に現れています。
「私のコレクションには常にカシミヤ・アイテムがあるんですが、スコットランドのヘリテージとクラフトマンシップには素晴らしいものがあると思います。」
恵まれた環境とデザインの才能、スコティッシュ・ヘリテージは彼の今現在の状況に多大なる影響を与えているようです。彼の伝記 Rags to Riches: The Christopher Kane Story によると、Christopherは子供時代、毎週土曜の夜は叔母の手書きのドレスに飾りつけをして過ごしていたとか。遊び盛りの少年にしては風変わりなエピソードですが、この頃の経験が後の世界的なファッションデザイナーになるきっかけを作ったのかもしれません。
また、Christopher少年は日曜日の昼には家族みんなでThe Clothes Show というテレビ番組を観るのが常だったそうです。さらに彼の家でSKYテレビ見られるようになると、ロンドン、パリ、ミラノ、ニューヨークなど主要ファッション・ウィークで行われるランウェイショーもよく見ていたとか。この時すでに、デザイナーとしての土台が作られていったのでしょう。
現在、彼の住まいはロンドン東部にあるダルストンという地域ににあります。ヒップスターの街として知られ、最新のストリートファッションが行きかう地域でもあります。このようなカウンター・カルチャーの発信地となったのは80年代から。シューメイカーJohn Moore、デザイナーChristopher Nemeth、スタイリストJudy Blame など、いずれもその個性で一世を風靡したクリエイター達が住まいを構えていました。その30年後の現在、今のダルストンでは何が起こっているのか、Christopher の視点を伺いました。
「ダルストンは、今でも様々なキャラクターに溢れています。真似したいと思わないようなスタイルでも、インスピレーションを受ける。私が住み始めてからもっと増えたんじゃないかな。とにかく多種多様の人々がミックスされた地域なので、ファッションもカルチャーも非常に特殊ですね。」
彼の言葉は、メインストリートであるKind’s Land Roadをひと歩きしてみれば納得できるはず。しかし、いくらポストコードが同じでも、他のイーストロンドン・デザイナーとは一線を介するのがChristopher Kaneというデザイナーなのです。
例えば、彼のコレクションの多くはまだ記憶に新しいナインティーズ・オーセンティックをベースにしています。子供時代に夢中になったテレビ番組から、今もインスパイアされ続けています。
「私が子供時代を過ごした80~90年代の影響は、過去を振り返るという作業の中では大きいですね。ただ正直に言えば、どの年代のものでもインスパイアされることはあります。ただ興味や関心がどんなフレームの中にあるかによりますね。」
彼の人並みはずれたプリント・デザインには、その影響を如実に感じ取る事が出来ます。 「(プリントデザインには)その時々の自分の気分なんです。」
端的に言ってしまうと、彼の気分そのものがビジネスに直結しているということ。それは彼にとって自らのクリエィションの強固で柔軟な基盤であり、あらゆることの出発点なのでしょう。ところで、気になる来シーズンのプリントデザインについても伺いました。
「今ちょうどAW12シーズンのコレクションを始めたところで、今回はデジタルプリントではなく、様々なカラーのフロッキングに挑戦しています。理由は、単純に新鮮で面白いものを提供したかったからです。」
さらに違った一面を見せてくれそうなAW’12シーズン、今から入荷が楽しみです。
Christopher Kane のSpring / Summerコレクションはこちらから。
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